カジノ実施法案をめぐる与党協議が決着した。統合型リゾートは三カ所、日本人の入場料は六千円−などだ。
だが、賭博で経済成長する発想自体がおかしい。社会の美風が崩れてしまう。
与党が合意したのは、他にも日本人のカジノ入場回数を週三回、月十回まで。カジノフロア面積をIR全体の3%以下にする。
事業者から徴収する「カジノ納付金」の割合を30%とする、などだ。
(ry)
政府、与党は四月中にカジノ実施法案を今国会に提出し、会期中の成立を目指すという。IRの箇所数については含みが残されている。
七年後に追加の見直し規定を設けるからだ。これは検討部会で議員から「訪日客を増やすのに三カ所でいいのか」「五カ所でスタートすべきだ」などの意見が出たためだろう。
実現すれば、まるで“カジノ列島”である。
だが、民間賭博である。合法性の有無の議論がいまだに熟していないのではないか。カジノ収益の30%を国と都道府県に納付すれば、それで「公益性」の確保となるのか。
収益を地方公共団体の財源などにする公営ギャンブルとの違いは明白である。違法でない論理をしっかり説明すべきである。
入場回数の制限についても「厳しい」という声が上がっていた。だが、週三回、月に十回もギャンブルできる状態は、もはやギャンブル依存である。
しかも、この一回というのは、何時間であっても構わないのであるから。
日本では古来、賭博を禁じてきた歴史がある。これが社会の美風をつくってきた。賭博は自分の勤労によらないで、カネを得ようとするから、必然的に勤労の美風をも害するのである。
ギャンブル依存症の問題も心配だ。日本で依存症だと推定される人の割合は3・6%いる。
欧米諸国は1%台だから突出して高い。カジノ解禁はより悪影響となるに違いない。IR周辺の治安の悪化も心配材料になる。
カジノで経済成長を−というが、IRに来客が集中して地域全体の経済効果は薄いという指摘もある。
共同通信の三月の世論調査では65%がカジノに「反対」だ。国民は懸念している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040602000167.html